陰と陽。 病気の指針

体内からの治療を主とした『東洋医学』『漢方医学』と外的作用で治療する『西洋医学』。ですので漢方薬は『西洋薬』とは大きく異なり、病名や症状だけから適切で、かつ最良の処方を選択することはできないのです。病の人それぞれの『証』といって『体質』『体力』『抵抗力』『病気の進行具合』などを総合的に考慮し、慎重に個々に合わせた漢方薬を決定するのです。

代表的な「証」には次のようなものがあります:1.虚実(虚証と実証)、2.陰陽(陰証と陽証)、3.気・血・水です。
『東洋医学』『漢方医学』では、病気というのは体力と病邪の闘いとしてとらえます。
そして陰陽とは、この闘いにおける『病邪の進行度』と『体力の消耗度』をみるものさしと考えるのがもっともわかりやすでしょう。

『東洋医学』『漢方医学』の重要な「証」のひとつである『虚実』が体力の質的な充実さを示す『証』であるとすれば、『陰陽』は、『体力を量』的なものからとらえるものと考えるのが良いでしょう。

●「陰証」
陰証の人は、病気の状態が『消極的』『静的』『潜伏的』で、『寒冷』の傾向があります。

このような症状の人の場合、『寒気を訴え』『手足が冷えて』『顔色も青白い』のが特徴で、熱が出るといった症状はありません。したがって、身体を温める作用のある「附子(ぶし)」や「乾姜(かんきょう)」を含む漢方薬を用いて治療を行うのが通常となっています。

●「陽証」
陽証の人は、病気の状態が『積極的』『動的』『開放的』で『熱性』の傾向がみられます。

『炎症』や『充血』『発熱』といったその他の症状を示すことが非常に多いことから、身体を冷やし、熱をとりのぞく作用のある漢方薬を用います。
たとえば、「桂皮(けいひ)」や「麻黄(まおう)」などを含むものがその代表と言えるでしょう。
「陰陽」とは、病気の進行の具合と体力の消耗度をみるものさしであるといえます。ですから病気の勢いとその人の体力の関係を量的な面からとらえて割り出すのです。
病気のかかりはじめで、体力が病邪よりも優位にある時期を『陽証期』病気が進行して体力が病邪よりも劣った状態にある時期を『陰証期』といいます。